腹式呼吸のやり方
 

 
腹式呼吸のやり方で疾病を予防し、更に健康増進に対して高い効果が期待できるのが、二木式腹式呼吸法です。

 

その二木式腹式呼吸法は、明治末に出現し、三大健康法と呼ばれた健康法の一つですが、今でもその効果は変わるものではありません。

 

そして、その特徴は、提唱者の二木謙三博士が自らの体験に基づいて古来からの東洋養生法に属する平田篤胤の修養法の効果を再認識して、これに近代医学の知見に基づく裏付けを加えたことです。

 

呼吸法は、方法論自体、いたって簡単であり、高度の技術を必要としませんので、誰でも取り組めます。

 

腹式呼吸法の健康に及ぼす効果

 

通常呼吸では肺の機能の一割程度しか使っていません。

 

しかし、呼吸は、息を吐くことによって炭酸ガスをはじめ、その他の気体性老廃物や毒素を放出し、吸う息によって空気中から酸素を吸収しているのです。

 

吐く息は食物の燃焼廃ガスとしての老廃物・炭酸ガスが主であるが、間違った精神状態から生じた毒素も放出しています。

 

だから、呼吸が不完全な場合には、大なり小なり、毒素を体内にため込んでいることになるのです。

 

日常生活のなかで、毒物・老廃物の排出を行なっているのは、この吐く息と、大小便ならびに汗だけです。

 

吐く息からは気体性老廃物を、小便と汗で液体性老廃物をで大便として固体性老廃物を排出しています。

 

気体性老廃物は主に吐く息から排出し、ごくわずかに皮膚からも排出するのです。

 

健康にとっては、毒物・老廃物の排除は大変重要で、呼吸の仕方が大変重要です。

 

内臓運動を活発にする腹式呼吸

 

呼吸運動によって横隔膜を上下させて、腹筋および胸筋などの緊張と弛緩の交互運動をしています。

 

この運動は、意識的に行なうことのできない内臓運動を行なわせ、同時に血行を促進させることにもなります。

 

たとえば、肝臓は解毒作用をはじめ多くの健康上の重要な役割をしていますが、それを助けているのが横隔膜なのです。

 

横隔膜は肝臓の真上にあって肝臓のマッサージ役をつとめています。

 

横隔膜の緊張力が強いほど肝臓内の静脈血の絞り出しが旺盛に行なわれるようになります。

 

横隔膜が弛緩上昇すれば肝臓に再び大量の血液が流入され、それがまた絞り出されるということになります。

 

そのようにして、肝臓の働きは横隔膜の上下運動によって大きな影響を受けています。

 

したがって腹式呼吸は肝臓の機能を活発にし、肝臓を強化すると言えます。

 

腹圧が強ければ、それだけ血液の循環は活発になるというわけです。

 

腹圧が強いと、腹の中の内臓だけでなく、心臓は動脈の血流を盛んにし、静脈の血流も促進されるのです。

 

つまり循環器系の正常な働きのために腹圧は重要であり、腹圧が第二の心臓と言われる所以です。

 

そして、下腹部はもっともうっ血しやすい場所であり、脳の疲労感の原因と手足の血行不良の大部分は、下腹部のうっ血からといわれています。

 

また悲しいとき、驚いたとき、不平不満を感じたときなど精神的にマイナスの状態のときには、腹圧は低下して、呼吸は胸式になっているのです。

 

このように、腹式呼吸は内臓運動を活発にして、身体の健康を促進するためには必要不可欠であるとも言えます。

 

自律神経をコントロールする呼吸法の効果

 

内臓は本来自律神経によって支配されていて、意志の力でコントロールすることができないものです。

 

しかしその中でただ一つだけ呼吸は意志の力でコントロールすることができるのです。

 

腹式で腹に力を適当に入れてゆっくりと長く息を吐くと、副交感神経が緊張して抑制力が生まれ、胸式で胸先に力を入れて息を吸うと交感神経が緊張して緊張が高まります。

 

たとえばびっくりしてからハッとなるのではなくて、ハッとなる呼吸をし、脈が早くなってからびっくりするのです。

 

同じ様に、心が落ち着いてから呼吸が深くなるのではなくて、呼吸が深くなり脈が静まってくるのに応じて、心も落ち着いてくるのです。

 

つまり、意識的に呼吸と脈を変えることによって、心身の状態を変えることもできるということなのです。

 

腹式呼吸法と丹田

 

丹田とはヘソと恥骨と腰椎三番を結ぶ三角形の中心にある人体の物理的重心です。

 

ところが、多くの人はこの丹田から重心が、左右、前後、あるいは上にずれているのです。

 

腹式呼吸法によって、丹田に体の重心を整えて、腹圧を高め、丹田に力が統一されると心も落ち着いてきます。

 

二木博士は、これを「腹で息をする」という表現を用いており、「腹で息をする者は胆力を養成することが出来る」とも述べています。

 

腹式呼吸法によって、自律神経のバランスがとれているときには脳波がもっとも整っており、内臓の働きもまた、もっとも整っていることは生理学者によって認められています。

 

二木式腹式呼吸法のやり方

 

二木式腹式呼吸法は「一種の深呼吸法」であると、その提唱者の二木謙三博士は述べています。

 

そのやり方は、以下の通りです。

 

1.吸 気

息を吸うのは鼻で行い、胸を通して上腹より下腹へ、息を吸いながら下腹が膨れ丹田に力が入り、且幾らか固くなるように心して行ないます。

 

2.呼 気

息を吸い終わった時は、直に之を吐き出さずに2~3秒の間少し堪へて精神を落ち着けます。

そして、より自然に長く、息を臍下より上に押出し、鼻より吐き出す様にします。

 

その時には、下腹が普段よりは少し凹んで且少しく固くなることが必要です。

 

3.時間・回数/日

 

回数は、朝夕2回もしくは、朝・午後・就寝時の3回位試みるのかよいとしています。

 

なお、この呼吸法は、熟練すればほとんど場所と時間を選びませんが、食前食後いわゆる、空腹時及び満腹時は避けてください。

 

練習時間は「一呼吸の長さ約15秒即一分間に4息位の割合を以て反復する」速さで、最初は一回の練習時間5分位から徐々馴れるに従って回数を増し、先づ一度に15分~30分即ち60息~120息位がいいでしょう。

 

4.姿勢

 

姿勢は、①座位、②立位、③仰臥位のいずれでも良いでが、初心者は、座位で行うのが一番便利です。

 

まとめ

 

二木式腹式呼吸法の特徴は、提唱者の二木謙三博士が自らの体験に基づいて古来からの東洋養生法に属する平田の操法の効果を認めただけに止まらず、これに近代医学の知見に基づく裏付けを加えたことです。

 

そして、晩年も元気に活動し、93歳で亡くなる前に全国の弟子を呼び集め「それじゃあ、君たち、最後の息をするから、さようなら」と言って世を去ったということのようです。

 

また、医学博士であり、正心調息法の創始者である塩谷信男氏は二木博士の健康法を実践して病弱体質を克服し、100歳を越えてまで活躍をしていました。

 

このように、医学関係者にも、その効果は実績として残されている呼吸法です。