あなたの心の強さ、弱さは、生まれつきよりも、むしろ生まれてから
今日までの長い間に習慣化した、あなたの感受性とそれに伴う心の反応性、

すなわち感応性能の強弱に比例して、
固定化した結果として心の強い人、弱い人ができあがるのです。

そこで心をどんな場合にも強くもつには、この感応性能を、積極的になるように習慣づける必要があります。 

そのために、あなたの意識を決定的に支配できる暗示力のある言葉を利用するのです。

■人生とは言葉の暗示である

あなたの人生を変えられるのは、この世でたった一人だけ、それは言うまでもなくあなた自身だけです。

その人生を良い方向に変えられるのは信念です。

その信念は、あなたの言葉と思考がつくり、それが人生を決定づけます。

そこで、今回は心の奥深くにあって、あなたの人生を方向づけている観念要素を積極化するのに実際に効果のある精神強化法を説明します。

■観念要素と心の強さと弱さ

心の強さ、弱さは、感応性能の強さ、弱さにかかっています。

その感応性能の強さ、弱さは、心(実在意識)で担う思考の強さ、弱さに根ざしており、しかもその思考の強さ、弱さは、潜在意識にある観念要素の強度を基にしているというわけです。

そんなわけであなたは生まれた時から心が弱いから、あなたの思うこと、考えることがすべて消極的で困ると考えるのは、皮肉なことに正反対な捉え方なのです。

実際にはふだん思い描くこと、考えることがネガティヴだから、それがどこかで固定化してしまって、消極的な弱い心の持ちぬしに変貌してしまっているというわけです。

そしてその思うこと、考えることがいつも消極的なのは、その原因は深く潜在意識の中にある観念要素が、すべて消極的なもので一杯になっているからだということに気がつかなければいけないのです。

■観念要素更改の必要な理由

心の中で強くなりたい、強くしようと思っても、それは実在意識の中でそう思う、そう努力するだけで、その弱い原因は、実在意識が直接力の及ばない潜在意識の中にあるので、効果が中々あがらないというわけであります。

ちなみに、今どきのたくさんの人は、何事に対しても、とかく消極的な考え方を行ってしまうのです。

そして消極的な言葉をはき、消極的な行動をする人が実に多いようです。

それが当たり前の事と思っているか、当たり前の事と思わぬにしても何ともし難いことと思うか、あるいは、自分の生まれ持っての気質ときめてあきらめています。

その原因が潜在意識の中にある観念要素が消極的なためであるとはまったくご存じない。 

そこで、自分の心をいつも積極的に保持し、思考を常に積極的な方向に向かわせるためには、何をおいても先ず潜在意識に在る観念要素を、今までの消極的なものから、その正反対の積極的なものに切り換えなければならない。

いわば潜在意識の中をクリーニングして確固たる因子を入れることなのです。

これこそが観念要素更改の必要な理由であります。

■暗示のもつ力

それでは観念要素を更改するには、どうすればよいか? 

観念要素が実在意識の領域にないだけに、あなたが意識して直接どうこうすることは不可能なのです。

しかしここに潜在意識に大きな力を働きかける暗示という作用があることに関心の目を向けてみましょう。

そういう訳でこの暗示のもつ力を利用、応用して、観念要素の更改を計る効果的方法を次に述べます。

■暗示の意味と効果

暗示というと、すぐ催眠術で使う方法だとばかり考えて、なにか一種の詐術めいた非科学的なもののようにうけとる人がけっこう多いようです。

心理学を少しでものぞいた人は、それが間違いなことは知っていると思う。 

催眠術で使われる暗示も、もちろん暗示作用を応用したものであるが、あれは暗示全体からいえば、極めて一小部分の利用方法に過ぎない。 

あなたは目が覚めている間は、絶えず外界から暗示の働きかけをうけている。

あなたは暗示の世界に生きているといってもいい過ぎではない。

では暗示とはなにか?

心理学は定義する。「暗示とは、外界より感覚を通じて人の意識内容に、同化感化の力を働きかける事実現象をいう」と。

あるいはもっとくわしく、「暗示とは、外部から与えられる言葉や文字その他による感覚的刺激を、心が無批判、無条件にうけ入れ、それに同化感化されて一定の考えや行動が生まれる現象である」という。

■暗示感受性

人間は程度の差こそあるが、すべて暗示に同化感化される性質をもっています。

すなわちどんな人でも暗示感受性(被暗示性)をもっているのであります。

ところが心の弱い人は消極的な暗示事項をよくうけ入れ、心の強い人は積極的な暗示事項をうけ入れ易い傾向を持ち合わせています。

そしてこれらのうけ入れたものは、いずれも、あなたの潜在意識の中の観念要素になってしまうわけです。

ここに暗示の力があなたにとって無視することが不可能な重要な実態があります。

■3つの自己暗示法で精神を積極化

当たり前の事ですが自己暗示法とは文字どおり自分が自分に対して行う暗示法です。

まずは基本となる3つの方法をマスターしてその効果を確かめてください。

まずは、毎日の寝ぎわのときに、その日あった厭なこと、辛いこと、くやしいこと、腹の立つこと、悲しいこと、怖ろしかったこと、心配なことといった消極的な感情や思いを切り離して、夜の寝床に持ち込まないようにすることです。

そんなことが頭に浮かんだら、みな明日廻しにして、それとは反対の積極的で明るく朗らかな方向に向けるように習慣づけることです。

過去のたのしい思い出でも、今日一日の楽しかったことでも、あるいは将来希望する明るいすがたなどでいいのです。

その次の方法は、簡単です。

夜寝床に入る前に、手鏡でもいいですから、そこにみえるあなたの顔のみけんに向かって、あなたのなりたいことを、精神を集中して、真剣な態度で、本当に自分自身がその言葉どおりのものになった気持ちで言葉に出して呼びかけるのです。

例えば、神経過敏で悩んでる人は、『お前は物事を気にしなくなる!』というように、二人称でお前はと呼びかけます。 

この時に大事なことはは、飽くまで断定的にいい切ることです。

そして、この言葉は声に出して、ただの1回だけです。(声の大きさは、自分だけに聞こえるくらいでそんなに大きな声は必要ではありませんよ。)

その時から一度ひとつのことをきめて暗示づけたら、同じ言葉の暗示を毎晩続けて実践することです。

最初は三月、半年とかかりますが、一つがものに出来れば後は一月、二月と期間が短縮されて、その効果を短時日の間に収めることができるようになります。

この方法は、あなたの人生、生活のあらゆることを対象にして、信じられないくらいの効果を体現するものですから、ぜひ実行してその効果を堪能してもらいたいものです。
 
更に三つ目の方法を、それに続けて行うと、その効果は一層拡大します。

この方法は、朝起床して、歯を磨いたり、顔を洗ったりしているさなかにでも、前の晩にあなたに与えた暗示の言葉を再び反復することになります。 

朝起きてから、この断定暗示法を行う時は、鏡は必要としません。 

そして前の晩『お前は信念強くなる!』と暗示したなら、この朝は『わたしは信念強くなったぞ!』と力強く声に出して言い放つ。

前の晩の暗示の言葉を、一人称で『わたしは』といい、『なった』と過去の形で断定するというわけです。 

この言葉は、一回だけでなく、二回、三回と繰り返して自分の心を確実にするようにした方が良いですよ。

ただしこの際、自分の現実の状態とは無関係に断定しなければいけません。 

以上の3つの方法で、精神を積極化できますので、真剣に取り組んでください。

■観念要素を消極的なものから積極的なものに

この方法を実行しても最初のうちは、消極から積極へ心を移しても、やがてすぐ元の消極へ戻っていることがしばしばあります。

それは長い間消極的な観念要素を潜在意識に一杯ためていたので、それがすぐ意識の表面へ出てくる習性が組み込まれているからです。

そういう時は、繰り返し繰り返しこの方法を行うことが必要不可欠です。

そうした繰り返しのうちにいつか、思うこと、考えることが、すべて積極的な方向に向かっていることを発見するはずです。

結果的に潜在意識内の観念要素を、消極的なものから積極的なものに切り換えることができたからということを意味します。