
ナイハンチは、本来、空手の基本型として最初に習う型なのですが、現在では平安(ピンアン)を基本型として習ってから習う場合が多い様です。
言うまでもなく、ナイハンチを基本型として最初に習得していれば、このような質問はでてこないはずです。
ナイハンチは「内歩進」と記し、「ナイファンチン」「ナイファンチ」「ナイハンチン」「鉄騎」などと呼ばれ沖縄空手(首里手)の基礎にして究極の型と言われています。
拳豪・本部朝基は、型はナイファンチだけで言いと生前語り、著書『私の唐手術』で解説をしています。
ここでは、横一直線に行ったりきたりだけのミステリアスな型「ナイハンチ」のシンプルさの中に秘されている奥義の解明を試みています。
空手の型 ナイハンチの知られざる真実!
ナイハンチは沖縄に伝わる空手の三つの流儀の中の首里手の基本の型です。
沖縄発祥の空手は発生の背景や稽古法と動作の特色の違いから首里手・那覇手・泊手の三つの流儀が伝えられています。
首里手は中国拳法の影響を受けながらもスピーディーでダイナミックな動作に特色があり、その鍛錬型がナイハンチなのです。
演武線は横一直線で閉足立ちから始まり移動は並足で左右に三回、その他の立ち方はナイハンチ立ちだけのシンプルなものです。
従って、武道の予備知識をまったくもたない初心者が型の手順と挙動を覚えるのはそれほど難しいものではありません。
しかし、この型は非常にシンプルですが、その内容は変化応用に富み、そのため沖縄では古来より、基本型でありながら実戦型と言われてきました。
ところが、あなたは教えられたとおりにナイハンチを修練してみても型の外見上からは、とても実戦に通用する技や術があるとは感じとることはできないでしょう。
ところが数多くの名人、達人が「空手の型はナイハンチに始まりナイハンチに終わる」として、徹底的に鍛え重要視しています。
つまり、このシンプルさの中に秘されている奥義を理解し体得することが、あなたが空手を上達出来るか否かのカギを握っているということなのです。
実際に、この型には「空手における身体操作から技法に至る全ての秘密が秘められている」と言われております。
そこでまずは、首里手の重要型と伝えられるこの型に含有されている真髄とも言えるものを横一直線上で非常にシンプルな型のなかから「このシンプルな型のどこに実戦に通用する技や術があるのか」を体得することが重要です。
空手の基本型ナイハンチの目的
一言で表現すると「武道的身体の基盤を作ること」です。
空手の型に関しては次のコンテンツを参考にしてください。

そこに、「型によって得られる技は、形としては見えないもの。すなわち型における手順や形態的な形そのものは意味がない」と書いてあります。
型は「外に見えるもの」とその見えるものを支配している「見えないもの」とに分けられ、これを「外」と「内」とすると、ナイハンチの型は「外:内=2:8」くらいの構成となります。
武道的身体の基盤を作るには、あなたの目には見えない「内」なる身体感覚を土台にした三つの目的があげられます。
- 正中線や正中軸の会得
- 重力を活用して生み出す「技」の修得
- 身体各所の動作から生み出す「術」の修得
こうした自己の身体の探求と、練りを実に有効に進めてくれるのが空手の基本型ナイハンチであると断言できます。
ナイハンチのシンプルさの中に秘されている奥義
ナイハンチ以降に学ぶ空手の型や技の全ては、ナイハンチによって練り上げた空手独自の持つ威力とスピードによって構成されています。
攻防の応酬を想定した実戦においては、威力とスピードが武術として非常に重要なものとなることは容易に理解が出来るのではないでしょうか。
ナイファンチの型にはそうした一瞬の“瞬殺”に似た動きを生み出す訓練が短く簡単な動作に収められているのです。
ナイファンチは「真半身」を基本として、身体を最大限に駆使して術技的に最強の武道的身体を創り上げるのです。
正中線軸をしっかり捉えて、それを崩さないようにするために、入り身、浮身、無足の法そして丹田などの、言葉としてはありますが、実在してないものをあるが如く意識できるようにしなければなりません。
この実在しない身体の運用技法が認識できるようになり身につくと、身体全体が一つになって動くため、技を出したという結果だけが認識されるが、その動作過程は相手には認識されずに、技が目に捉えることができなくなるのです。
こうした理論化された武道的身体を型として完璧に追究することで三位一体の心技体が実戦以前の稽古の場で出来上がり、実戦にも耐えうるものになります。
空手の型 ナイハンチは我流の体力や素質まかせの力技の無意味さが無駄であることを分からせてくれるとともに、秘されている奥義によって武道を極め達人となる事も夢ではなくなるのです。
ナイハンチ(ナイファンチ)の型の教えるもの
正中線軸をしっかり捉えた閉足立ちに始まり、それを崩さないようにするために、入り身、浮身、無足の法そして丹田などで発力する身体操作
運足と攻撃態勢に特徴があり、真半身への体の変化を生み出す運足および動作による「受け」なしの「攻撃は最大の防御なり」の攻撃技。
シンプルで短い訓練型により、短時間による全力投球が可能となり、型全体を集中した力で行えるので訓練し易い等の多くの要素が含まれており、まさに空手の根幹をなす型であると言えます。
また、空手の独自性はその動作から生み出される強力な威力とスピードにありますが、その土台を創り上げるものがこのナイファンチであること疑いのない事実です。
武道に必要な体捌き、入り身や浮身、それに無足の法といった、普通ではちょっと考えられない術が可能となる武道体となってきます。外見上のシンプルさに惑わされて、簡単に考えてしまうのでなく、身体の内面をしっかりと感じ、ナイハンチの型を練磨しましょう。
型の修得は、「外・内」の同時進行で行ない、目と言葉で学べる「外」から、型の挙動を支配している目に見えない部分、すなわち「内」を学ぶことです。
その結果、「内」なる部分の検証ができ、かつ型と同時に形(技)が形成され、また実戦に必要な術が形成されていくと言えます。
平安(ピンアン)の型の考察
今、空手の型の指導の大半は、基本型や平安(ピンアン)から行っていますが、実はこの型の修得順序が問題でして、空手の型は実戦に役に立たないと言われている一因を作っているのです。
何故かというと、平安の型は糸洲安恒師が学校の体育用として古伝の型から危険な技をなくして工夫された型として、初心者用の型として、または昇級審査向けとしての型として扱われているのが現状となっています。
糸洲安恒師がこの型を作った本来の趣旨は「空手が短期間で上達でき、即戦力として実用が可能となる事を目論んで古伝の型のエッセンスを抜粋して、上達のためには用法は口伝が必要として指導法を確立するためだったのですが、その口伝部分が抜け落ちてしまった結果が現状のようになっています。
つまり、この型から始めてしまうと、武器をもたずに戦いに挑むようなもので、あなたの筋力と運動神経に頼らざるを得ないこととなってしまいます。
平安の型の挙動の流れと構成は、さすがに古伝の型のエッセンスを抜粋したものですので、初段から五段といった五つの型として、シンプルで長過ぎず短過ぎず、非常に解りやすく空手の技法を組み合わせた画期的な型と言えるでしょう。
ですから、首里手系空手の土台を築く鍛錬型のナイハンチを徹底的に習得してからであれば、その内容把握の度合いも違って古伝の型のエッセンスの技法が効果を発揮できるようになります。
まとめーナイハンチはあなたも達人になれる奥義
空手の型 ナイハンチの知られざる真実!あなたも達人になれる奥義とは」と題して、ナイハンチの型の解説をしましたがいかがだったでしょうか?
この身体の運用技法が身につくと、身体全体が一つになって動くため、技を出したという結果だけが認識されるが、その動作過程は認識されずに、技が目に捉えることができなくなるのです。
横一直線での演武線で「真半身」から、身体を最大限に駆使して入り身からの力に頼らない見えない部分の変化応用が実戦に通用する技や術としての空手独特の威力とスピードを会得でき、実戦にも耐えうるものになります。
ぜひ、あなたも達人になれる奥義を身につけてください。
最後まで記事をお読みいただきましてありがとうございました。