武道としての空手の型は、非日常的な術技的身体を自分自身のものとするための身体運用の賜物といえるでしょう。
今回は、どのような型の練習メニューを鍛練することによって術から芸の域に達するかを明らかにしていきたいと思います。
空手の型の練習メニュー!
空手の型の練習メニューは、「型の趣旨をよく理解し、繰り返しの練習をするようにする」ことからやりはじめます。
型の動作は「正中線を意識して筋力は必要最少限とし、無駄な動きは行なわない」様に徹底して、「我流を捨て入り身、浮き身、無足の法」などにより緩急自在の変化をし、「一調子の電光石火」のスピードで動き、中心軸と丹田で極める」ように進めていきます。
この練習メニューを、繰り返し反復練習するようにします。
それでは一つづつ解説をしていきましょう。
■型の趣旨をよく理解し、繰り返しの練習をするようにする
まず、型の内容、その意図するところをよく理解するところから始めます。
まず1つの枠組みに於いて、個々の部分動作の意味と、関係している連続技の主旨を正しく理解したうえで、部分練習を反復トレーニングします。
さらに全体のまとめと位置付けて型全体の内容を正しく把握し、総合認識を持ちつつ型全体の反復練習を行ないます。
■正中線を意識して筋力は必要最少限として無駄な動作はしない
型の意味する正しい動作をする。
無意味な動作をしたり、無駄な動作はしない。
余計な力や無駄な力も入れない。
無駄を省いた必要最少限の動作をすることによって、型の正しい軌跡が生まれてきます。
正しい意味の把握から必要最少限の動作により正しい軌跡作り、と進むことが型上達の道であります。
■武道的身体の運用技術により湧き出ずる泉の如く、流れ変化する
武道的身体の運用技術を正しく理解しイメージを作り、イメージが尽さることなく湧いてくるまでトレーニングを積み重ねる。
武道的身体の運用技術とは、正中線や丹田などのないものをあるかのごとく意識して練習を積み重ねることによって、新たな身体意識として確立できてくるものです。
そのイメージが型の軌跡となって、「湧き出ずる泉の如く」尽きることなく澱むことなく流れ、緩急自在に変化していくまで練習するのです。
すると、身体全体が統一された一調子の動きになり、技が極まり、気迫とともに、力が、全身から尽さることなく湧き出して、型が完成されていくのです。
■「電光石火」の如く動き、中心軸と丹田で極める
型の一連の動作は、身体全体が統一された一調子の動きになったときに「電光石火の早業」となり、何物をも破壊しつくす一撃必殺の技が極められるようになります。
無駄な力を入れず、無駄な動きをせず、必要最小限の動作をすることによってこそ「電光石火の早業」が出せるようになります。
極め技は、破壊力があってこそ威力がある。
破壊力をつけ、技を極めるには、入り身、浮き身、無足の法は欠かせない術技で、天性の運動神経に任せた力技ではとても到達ができません。
■型の演武は気迫を込め、心身統一して行う
型は無限ともいえる攻防技から、理論的または実戦的に優れた規範となる技法で組み立てられ、場面に即応して応用性の豊かな基本となるものをもって構成されています。
武道は相手との相対関係が条件であり、その技法も常に相手の変化や反応によって対応を余儀なくされるものです。
自分の回りの前後左右に敵がいることを想定し、後ろの敵にも十分に気を配り、敵がいつ攻めてきても、受け、反撃する気迫をもって型を演武するように心がけましょう。
いずれの型も時間の経過とともに、先人の知恵と辛苦によって研ぎ澄まされ、後進に残された遺産なのです。
■型にば深さがある
型は力の勝負ではない。
力が湧き出る根源となる技を知り、そのうえで実際の場面で適切に技を使いこなす術をしっかり把握さえしておけば、気迫で勝負できる。
だから、何歳になっても、その年令にあった「味のある型」ができるし、型試合は「味のある型」プラス「気迫」で勝てる。
型から入り、技を身につけてから、組手の稽古に入り、術を体得するわけですが、そのうちに必ず壁にぶちあたります。
そこで、型に戻り、技と術を省みて、肩の鍛錬を繰り返していると、豁然として新たな体得が得られるものです。
こうしたことの繰り返しにより、若者は若者なりの、年配者は年配者なりの、夫々に「誰もまねのできない型」ができあがってきます。
「まだ、型で満足した事はない」というほど、型の奥行は深く、究極の型を目指して「生涯かけて型をやり続ける」覚悟が大切です。
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