呼吸法の効果は絶大で、他のいかなる健康法と比べても優るとも決して劣りません。
もしも、病院に入院している患者さんが呼吸法を正しく時間を掛けて行なったとしたら、おそらく半分以上は、たちまち退院できてしまうのではと言われています。
呼吸法自体、方法は簡単なので、みんな「こんなことで病気が治るわけがない」と思っています。
それは呼吸を、ただ酸素を吸って炭酸ガスを吐き出すという生理現象くらいにしか考えていないからなのです。
ところが、呼吸がどれほど重要であるかということはあなたを含めだれでもがわかっているのです。
だって、人間が数分間のあいだ呼吸ができなかったら、大変なことになってしまうことは誰でも知っていますよね。
そこで呼吸法の治癒力とはどのようなものがあるのかを考えてみましょう。
呼吸法が健康に及ぼす3つの科学的作用効果
呼吸法には驚異的ともいえる可能性があります。
呼吸法は単なる呼吸ではなく、呼吸のテクニックです。
そのテクニックを身につけることによってさまざまな効果が得られるということになります。
ここでは健康に及ぼす3つの科学的作用効果を説明しますので、あなたの日常生活に役立てていただけたら幸いです。
1.吐息で気体性老廃物を排出
人間は息を吐くことによって炭酸ガスをはじめとする気体性老廃物や毒素を排出し、吸う息によって空気中から酸素を吸収しています。
ところが、あなたが無意識で行っている呼吸は、肺の機能の一割程度しか使っていないのです。
そして普通の生活によって、実は体内には大なり小なり毒物や老廃物が蓄積されてしまっているのです。
あなたはをふくめ人間は、吐息からは気体性老廃物を、小便と汗で液体性老廃物、大便として固体性老廃物を排出しています。
なお気体性老廃物は吐息からが主で、ごくわずかに皮膚からも排出してはいます。
それから、現代医学の治病法の1大盲点ともいえるのが、毒物・老廃物の排除なのです。
吐息による気体性毒物・老廃物の排除の効果は絶大で大変重要ですが、意外になおざりにされているのが現状です。
吸う息によって吸収した酸素は、食べてから消化吸収された食物と酸化反応をして、炭酸ガスと水になるまで続けることによって人ははじめてエネルーギーを得ています。
ところが、酸素が不足すると、いくら食物を摂取しても酸化反応が十分でなくなり、アルデヒドや有機酸として残ってしまい、結果として老廃物として体内に蓄積されて、体の各器官に害を及ぼすようになります。
例えば、アルコール飲料で、頭が痛くなったり、二日酔いをするのは、酸素が足りないためにアルコールの酸化反応がアルデヒドでストップしてしまった結果なのです。
特に、脳は酸素不足に敏感で、呼吸で吸った息の中の酸素の大体四分の一を必要としています。
従って、頭痛や二日酔いの一番の対策は呼吸法ということになります。
その他、はげしい運動や、重労働のあとで、体が痛くなったり、疲れるのは、エネルギーを得る酸化反応が乳酸の段階でストップし、十分に行われていないのです。
体内に吸収された酸素には、もう一つの重要なこととして、神経の栄養源にも必要不可欠な存在だということです。
したがって酸素が不足すると神経が鈍り、自律神経の働きも低下してきます。
そのうえ、呼吸が不完全であると、炭酸ガスという毒物が十分に排出されない結果となり、神経が麻庫し、筋肉が硬化し、血液が汚れ、臓器の働きも鈍ってしまうという重大な結果を招いてしまうことになります。
2.腹式呼吸は腹圧を高め内臓を強化する
腹式呼吸は横隔膜の上下運動によって腹圧を高めて、内臓運動を促進して健康に効果をあげるためのメソッドです。
腹式呼吸法で意識的に息を吸ったときの腹圧は普段の腹圧の6~7倍以上、また息を意識的に吐いたときの腹圧は10倍以上になることが知られています。
腹圧が強ければ、それだけ血液の循環は活発になることになります。
そのうえ、腹圧が強いと、腹の中の内臓だけでなく、心臓は動脈の血流を盛んにし、静脈の血流も促進されます。
そして、下腹部はもっともうっ血しやすい場所であり、脳の疲労感の原因と手足の血行不良の大部分は、下腹部のうっ血からだとされています。
その他、腹式呼吸は肝臓の機能を活発にし、肝臓を強化したり、胃下垂やその他の内臓下垂を防ぎます。
腹式呼吸法とはそのぐらい効果的な内臓運動なのです。
3.呼吸を意志の力でコントロールして心身のバランスをとる
内臓は本来自律神経によって支配されていて、意志の力でコントロールすることができないものです。
しかし、呼吸だけは意志の力でコントロールすることができるただ一つのほうほうです。
あなたはこの呼吸を意志の力でコントロールすることによって、連鎖反応的に他の内臓各器官も自由にコントロールすることができるようになるのです。
心身のバランスをとる根本が呼吸であるから、意識的な呼吸の訓練をするときには、息を大きく吐くことから始めます。
しかし、普通の呼吸では意味がないので、できるだけ深く長い呼吸に精神統一と正しい姿勢とを加えて、下腹をへこませながら吐く息に力を入れてゆっくりと息を吐き出します。
つぎに、その反動で力を抜いて腹を出しながら吸う息を自然に行ない、少しその息を止めてから、また下腹をへこませながら吐く息に力を入れてゆっくりと息を吐き出すのです。
これが人間本来の正しい自然呼吸です。
このような腹式を主体とした人間本来の正しい自然呼吸を行なうことにより、酸素と炭酸ガスなど老廃物とのガス交換は十分に行なわれるのです。
そして、十分な内臓運動によって内臓の機能が高められ、全身の血液循環がよくなり、ホルモンの分泌が盛んになり、副交感神経の働きが高まって自律神経がコントロールできるようになるというわけです。
この呼吸法を続けていると抑制力が高まり、脳の働きが安定するので、神経の興奮緊張の結果生ずるノイローゼ、心悸亢進、胃酸過多症、胃潰瘍、糖尿病、慢性胃腸病などがすべて治ってしまうような結果が生じるのです。
胃病の80パーセント以上はこの神経の興奮緊張から生ずる病気だといわれていいます。
伸びる筋肉と縮む筋肉のバランスがとれると、神経とホルモンのバランスがとれて、大脳が安定します。
生命の働きは、脳の働きが安定してくるほど高まり整うのです。
呼吸法の訓練がなぜ必要なのか?
次第に年齢を重ねるにつれて、まわりから数々の精神的緊張をもたらされ、その結果として交感神経を緊張させ続けたところ、浅い呼吸や、早い呼吸になったり、あるいは胸式呼吸が主体のものに変わってしまったのです。
さらに酸性食品を食べ続けて、体がアチドージス(酸毒症)になると、交感神経型の呼吸になり、自然呼吸が妨げられるようになってしまいます。
体が力学的にひずんでくると、自然呼吸を損なうだけではなく、意識的に自然呼吸をやろうとしてもできない、という状態も起こってしまうのです。
加えて宿便をたくさんためていたり、便秘をしていたりすれば、腹圧が低下し、自然呼吸を困難にしちゃうことにもなります。
なぜ、このような精神、飲食、ひずみ、排泄などが乱されるのでしょうか。
それは文化の進展とともに、心身の不自然な使い方をする場合が多くなった結果ということを意味します。
その、不自然さが習慣化し、不完全な呼吸が常態化してしまうということになってしまったせいです。
ここに呼吸法の訓練が必要不可欠なものとなっているのです。
まとめ
呼吸法の効果は予想以上の高い効果が期待できます。
まずは、呼吸が健康にもたらす3つの治癒力をよく理解してください。
呼吸法が健康に及ぼす3つの科学的作用効果
1.吐息で気体性老廃物を排出
2.腹式呼吸は腹圧を高め内臓を強化する
3.呼吸を意志の力でコントロールして心身のバランスをとる
このことにより、呼吸法の訓練がなぜ必要なのか?
ということが理解でき、正しい呼吸法によりみるみる健康になることもお分かりになったことと思います。
さっそく取り組んでみてください。