
空手の基本即奥義の型・ナイファンチ(ナイハンチ)の用意から第1~2挙動の解説です。
文字でナイハンチの基本即奥義の真意を伝えるのは、難しいですが、できるだけのことは伝えたいと思っています。
ナイハンチの型の用意の姿勢から学ぶこと
ナイハンチの用意の姿勢の写真を見てください。

閉足立ちで姿勢よくただ立っているように見えますが、これからの文章を読んでからもう一度見直なおしてみてください。
本部朝基師は、この用意の姿勢は、全身力を入れ、護身の意を表す型で、下腹部に力を入れ姿勢を正しく表面を見る。
このように解説をしています。
本部朝基師の解説に正中線という言葉は使われておりませんが、「下腹部に力を入れ姿勢を正しく表面を見る」はまさに「正中線と丹田」を言葉を変えてさりげなく表現しています。
そして武道的自然体として潜在意識下にある正中線と丹田が自分の支配下にあってはじめて護身の意を表す型となるのです。
この武道の極意である「正中線と丹田」をしっかりと認識して行う技が基本即奥義を体現できるようになるのです。
ナイハンチの用意の姿勢で「正中線と丹田」の感性を高める
正中線は目に見えない身体の感覚が身体の中心を上下に貫くラインで、これが身体の中に出来ると、無駄な力を使わずに、バランスの良い姿勢が自分の意識下にできるため、最大限にカラダをコントロールできる能力が体得できるようになります。
そして、この正中線がしっかりしたものになると、それまで感じられなかった重力が重力線として意識できるようになります。
この2つの線と丹田との関わり合いで、重力が自分の力として、筋力主体のパワーからより強大なパワーへと変質するもととなるのです。
「勝ちに不思議の勝あり、負けに不思議の負けなし」
この言葉の意味することは、目には見えないが身体感覚としての正中線が感じられれば、それは、あなたの心身を貫く「不思議」(自然)であって、勝つときには、その自然の「理法」が働いて自然と勝つようになっているということです。
しかし、負ける時には、その「不思議」(自然)の法則から逸脱してしまっているのです。
この「正中線」は頭頂の百会から会陰を貫いて両足の中間を抜けて真下に向かい、身体の中から果てしない垂直方向への天と地に向かって反対方向に身体を貫く線として感覚されます。
■ナイハンチの型の第1挙動

大塚師は、身体感覚に重きを置いて練習することを重視されており「今から形の演武を開始します」という段階での力みを出さないために「和やかな気持ち」を和道流空手の技術の一つとして位置づけている。
ナイハンチの型の第1挙動は用意の姿勢から両手をまっすぐ伸ばし正中線に沿って前から上にあげ円を描いて両脇に広げ下ろし手のひらを上に向けて重なったところで、手前に引き寄せ、手のひらを返しながら真直ぐおろし、最初の姿勢に戻す。
「武道本来の精神は平和を愛しこれを促進するのであって世の中を円満に又自分の心も円満に保つ意味を象徴するものである。だから円くなだらかに行わねばならない。」と大塚師は精神論を述べています。
簡単な動作に見えますが、手だけを動かすのでなく、身体全体を使い「正中線と丹田」を意識して力を入れないでスムーズにバランスよく行います。
そして、手を上げていくときに、普通では、他の筋肉が連動して動いていることに気づかないでしょう。
ところが手を上げながら注意深く身体を感じてみると肩、胸、背中、腰、腹、足など全身の筋肉が連動していることに気付いて驚くのではないでしょうか。
この第1挙動の手の上げ下げも当然のことながら「手」だけでなく全身運動なのです。
そして、注意深く集中すると共に体は必要以上の緊張を避け、適度にリラックスして動作をすれば、筋肉はもちろん、皮膚の変化や気の流れなどの微妙な気配も感じ取ることできるはずです。
このようにして体の部分的な動きが、実は全身運動であり、「正中線」と繋がっていることを自覚すること―この自覚化をあなた自身の意識でコントロールします。
この身体感覚を身に付けていくことが、肉体的レベルを含む、それ以上の感覚を武道の術技としていくことによって、「基本即奥義」が体得できるようになります。
ナイハンチの型の第2挙動
首を回し、まず左を見て、右に回します。

この首の使い方は、真半身の正中線を体得するうえでとても大事な動作です。
首は左右共に肩の上のアゴを引いて顔の向きと両眼が正対するようにして、くれぐれも横眼づかいにならないように注意してください。
ここで重要なことは、首だけを廻すのでなく、股関節と仙腸関節の微調整で真半身が捻じれないようにします。
遠山の目附け
そして目はリラックスさせて「遠山の目附け」といわれている方法で、見るというよりは視界を広くして観えるという状態を訓練します。
宮本武蔵は、その生涯にわたる経験から会得した奥義を綴った「五輪の書」の中で「観の目強く、見の目弱し」と書き残しています。
そのうえ、常日頃からこのような目付となり、どんな状況でもこれを保持できるように訓練しなければならないとして、非常に重要視しています。
武道における基本姿勢は自然体です。
心身を自然体にすると、敵対する相手の意識の中身が、白紙状態の自分の心に感応してくるのです。
そして、感応即読みとして、一瞬にして対応手段として無意識的感性が現在のすべての状況を把握してしまうのです。
これが「観の目」の体現です。
私は目の奥の正中線上から目を透化するような感じで「観の目」の訓練を行っています。
いかがでしょうか?
用意から第1~2挙動までを説明しましたが、外見からは見て取れない内面での動きがいくらかはご理解できたでしょうか。
こうした内面での動きで、正中線と丹田を意識し鍛錬を積むと、動作の初動が筋力を使わずに、身体を緩めることで、相手に気配を感じさせずにタメのない敏捷で威力のある技へと繋がっていくのです。
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