
正中線や真半身の入り身は実戦において相手を制することのできる武道的身体の基盤として必要不可欠のもので、これがが体得できれば、相手の二の手が簡単に封じることができ、武道の奥儀の「先先の先」が会得出来たということになります。
■空手の型 ナイハンチ第4挙動の解説
船越義珍師の空手道二十箇条に「型は正しく、実戦は別もの」という一項があります。
実際に修練を重ねていくと、「組手は型の技と違っても構わない」というような安直な解釈ではなく、やはり型を深く学ぶことによって型の動作の意味することが分かると、型の重要性も違ったものとなってきます。
■本部朝基師の型の解説
本部朝基師は型の解説で「伸ばした手で掴まえて引き寄せると同時に、左肘をもって敵を突く様に図の如く動作をする。
この時、肘は胸部より五寸くらい離し、上体は右向きにして、下体を崩さないように注意すること。」
その上さらに注意するべきこととして
「実戦の場合は、左肘をもって突くのでなく、左拳をもって突くべきものである。型であるから体裁よく肘打ちにしているのである。」と述べています。
前回の第3挙動のところで真半身の入り身で正中線を確保して、相手の二の手を封じた状況からの突きを想定した動作です。
本部朝基師の型の解説で、「型であるから体裁よく肘打ちにしているのである。」このことをしっかりと念頭に入れた肘打ちとしなければなりません。
従って、下半身はナイハンチ立ちを崩さずに、肘打ちのキメまでの動作は肘が正中面を真直ぐに突きの要領で移動させ小さく鋭い動きとなります。
このように、ナイハンチの立ち方を崩さずに伸ばした右腕を引き付けて左肘打ちをしています。
この立ち方を崩さずに下半身は真半身のままの体勢で行うことで正中線をしっかり確保した全身力が左肘に集められるようになります。
そこで、この肘打ちのタイミングと体捌きで突きを行えば武器化した最大限の力のある突きになります。
■和道流の大塚師「体全体の力で突くこと。」
このナイハンチ第4挙動の肘打ちの時の身体感覚で、突きを行うと大塚師の言っている『体全体の力で突く』と言われている意味が体感でき理解できるようになるでしょう。。
筋力に頼らずに、身体全体が正中線上を入り身になり、最短距離を全身が突きに乗っていくような感覚です。
このように、型の正しい解釈をもとに、型を修練すれば、これが組手にもつながり型から組手へと正しい武道空手が理解できるようになります。
■空手の型 ナイハンチ第5挙動の解説
一撃必殺の攻撃技があっても、その一撃を相手が感知してしまえば、宝の持ち腐れになってしまいます。
結果を出すには相手に感知されないようにしなければなりません。
自分の攻撃を相手に気づかれずにするには心身をどのようにコントロールすればよいのでしょう?

■本部朝基師の型の解説
本部朝基師は「拳と拳とを、右脇腹のところに左を上に重ねると、同時に左側面を見る。
但しこの時姿勢を正確にして左肩が上がらないように注意しべし。
これ左側面の攻撃に移る構えなり。」としています。
この動作は、相手から見ると脇腹が簡単に攻撃できると思わせること。
そして、そこを攻撃せざるをえない状況に追い込む術です。
戦う前に勝ちを制するために、先を取って、相手の心を崩して、攻撃をさせるために相手の心や思念の起こりを取って、相手を防戦に追い込む術技が大事なことというわけです。
まさに相手が攻撃技を仕掛ける瞬間の心の動きの頭を取り、その間を押さえて先を取るための動作です。
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)については、以下のようなコンテンツもご紹介しています。
空手の型の基本であり真髄でもあるナイファンチ(ナイハンチ)の型の解明
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)≪その1≫「正中線と丹田」
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)≪その2≫用意から第1~2挙動 遠山の目附け
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)第3挙動 真半身の入り身と浮き
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)第6挙動と第7挙動 攻防一如
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)第8挙動~第11挙動 攻防の原理
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)第12挙動~第15挙動 波返しと浮き身
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)第16挙動~第18挙動 夫婦手の解明
空手の型や空手の流派の種類などについて関係した記事もご紹介しています。
空手の型の意味するものとは?船越義珍師の「空手道六訓」より学ぶ!
空手の流派の種類!空手の流派って何?空手を始めようとする方‥必見です!
丹田呼吸法をはじめ横隔膜呼吸なども関係した記事として色々な角度からご紹介していますので参考にしてください。
不安を解消する呼吸法はストレスを軽減し感情をコントロールする
横隔膜呼吸とは自然の正しい呼吸ですが成長と共にできない人が多い!
横隔膜呼吸 やり方【その1】 画像と身体意識で呼吸をイメージで体感する
横隔膜呼吸 やり方【その2】おなかの底まで呼吸を通す方法を体得する
横隔膜呼吸 やり方【その3】片鼻呼吸で自律神経を整え心と身体を統合する
丹田呼吸法と瞑想!白隠禅師の内観法と軟酥の法は身心修養の秘法
少しでもあなたの悩みに該当するような内容があれば、御覧ください。
最後まで記事をお読みいただきましてありがとうございました。