
本部師はナイハンチ(ナイファンチ)の型を最も大事な型として、特に晩年はこの型だけを演じてたようです。
そのためにナイハンチ(ナイファンチ)の型以外は知らないのではないかとの誤解を受けたこともあった位です。
それでは型の解説の続きです。
空手の型 解説!ナイファンチ(ナイハンチ)第16挙動
本部師の解説は「拳と拳とを図の如く、右脇腹の処に左を上に重ねると同時に、右側面を見る。但し、肩が上がらない様に注意する。これ次の動作の準備なり。」としています。
「次の動作の準備なり」とは、右側面の相手からしてみると右脇腹ががら空きになっているわけですから、そこに攻撃技を仕掛けてくる。
相手が仕掛けてきてから反応するのでなく、相手の攻撃を誘導して相手をとらえている状態でなければなりません。
相手に突かせるということがここでは大事な心身の術技性でして、突かせることが実は崩しで相手を防御態勢においこむことなのです。
この崩しは、柔らかく力を抜くと同時に身体の沈みが重要な極意性として必要不可欠の要素となります。
ナイハンチ(ナイファンチ)の型第17挙動
本部朝基師「重ねたる両手を、姿勢をくずさず左側面に突き出す。これ敵より突き込まれたるを受ける意、いわゆる夫婦手を型化せるたり。」と表現しています。
攻撃相手に対して真半身(90度の入り身)の体勢であることは、すでに相手の二の手を封じる構えであり、実戦の場合、攻撃する手はなるべく相手に近い方が有利であります。
この第17挙動の意味するものが夫婦手と呼ばれています。
両手をどのように使うかというと、前の手は前線にあって攻撃もすれば防御もします。
即ち、突くか、あるいは相手の攻撃を受け外すと同時にすぐ突き出す。
その時、後ろの手は予備としておくが、前の手で間に合わないときには、後ろの手で攻撃あるいは防御もするのです。
このようにして組手に夫婦手を応用してみると、その効果の大きいことがわかるでしょう。
前の第16挙動で、相手を崩すことによって、その攻撃をゆるめさせ、入り身の体勢で、相手の攻撃してくる位置や崩れ具合、速さと正中線の関係で、左右どちらの手で攻防を行うのかの状況判断が大事な要素となります。
ナイハンチ(ナイファンチ)の型は空手道奥義の型
本部師の絶妙ともいえる空手の術理術技は全てが、この型から編み出されたものなのです。
本部師が実戦の時の重要な構えとして「夫婦手」はこのナイハンチ(ナイファンチ)の型の中に伝承されているものであり、本部師の独創のものではありません。
この夫婦手は構えの時だけでなく、実戦における千変万化の動作のさなかでも、常に影の如く連動してこそ、自由な精緻巧妙な攻防の術技が可能となるのです。
ナイハンチ(ナイファンチ)の型第18挙動
この第18挙動から型の後半になりますが、この18挙動だけは前半の動きと違いますので、ここに載せておきます。
本部朝基師は「右手を右脇腹に強く引くと同時に左手を上に捻じりながら手を図の如く開く。左手で敵を掴む意なるべし。」と解説しています。
大塚博紀師は「急激に行わず緩やかに柔らかく然も強く体の全力で行う。腕の力のみで行うと左右両腕の力がとれないために体も曲がり胸を張って恰(あたか)も深呼吸する格好になりがちであるから注意すること。」としています。
相手に手首を掴まれたと想定すると、手を急に振りほどこうとすると相手の抵抗を受けてしまうので、相手の気づかぬようにするための工夫がこの動作では必要となります。
ナイファンチ(ナイハンチ)の型は、このあとは以下の第4挙動から第17挙動の左右を逆にした動作を行って、最後は、右手・右足を引き寄せて閉足立ちとなって、用意の姿勢にもどり終わります。
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