武道

空手の型の基本であり真髄でもあるナイファンチ(ナイハンチ)の型の解明

空手の型とは、生死を賭けた実戦から武術の達人の創意工夫により生み出された徒手空拳の攻防術技の集大成されたものです。

空手は型に始まり型に終わると言われています。先ず型から始め、技を身につけて組手の稽古で術として体得していく。

そうした型の稽古を通して、技から術へ、術から理へ、理から道へと、型の声なき声を聴き、無我の境地を得る。

この精神が人生すべてのことにおいて生かし切ることができるようになるのです。

型の解説に使っている写真は、本部朝基師と大塚博紀師のものです。

■ナイファンチ(ナイハンチ)の型の解明

今日は、空手の型の基本であり真髄でもあるナイファンチ(ナイハンチ)の型の解明を行います。

ナイハンチの型は空手の基本として、最初に習うのが通例でした。
(今は平安から始めるところが多いようです)

演武線は横一直線で、シンプルですが、このシンプルさの中に秘されている奥義を理解し体得することが、今後の空手上達のカギを握っています。

■ナイファンチの型の鍛錬で得られるもの

武道の予備知識をまったくもたない初心者が、このナイファンチの型を鍛錬することによって空手の気息、手、足、腰の、空手技法の基本的な土台と、空手をやる上の基礎的体力、体格がつくられていき、武道精神、気力が養成されていきます。

■ナイファンチに始まりナイファンチに終わる

ナイファンチ(ナイハンチ)は空手の型の基本として、本来は最初に修得するべき大事なものです。

演武線は横一直線で閉足立ちから始まり移動は並足で左右に三回、その他の立ち方はナイファンチ立ちだけのシンプルなものです。

しかし、このシンプルさの中に空手の真髄としての身体操作から技法に至る全ての秘密が秘められている実戦型なのです。

「空手の型の稽古ははナイファンチに始まりナイファンチに終わる」とも言われている。

では何故ナイファンチに始まりナイファンチに終わるのでしょうか?

それはズバリ、

「外に見える部分は非常にシンプルですが、その見えない部分の変化応用が実戦に通用する技や術としての空手独特の威力とスピードを会得できるからです。」

忘れてならないのは、ナイファンチ以降に学ぶ空手の型・技の全ては、この空手独自の持つ威力とスピードによって構成されているということなのです。

さらに言えば、例え細かい攻防技術が未熟でも、一瞬で決まる実戦では一撃必殺の技があれば戦いに勝つ要素は高くなります。

攻防の応酬を想定した試合以外の場面においては、威力とスピードが武術として非常に重要なものとなることは容易に理解が出来るのではないでしょうか。

ナイファンチの型にはそうした一瞬の“瞬殺”に似た動きを生み出す訓練が含まれているのです。

それを短く簡単な動作に収めたナイファンチは、空手を会得するのに非常に有効であり、かつ、体力が衰え始めた高齢者においても効果を得る実用性を含んだ訓練法と言えます。

■基本の理論が極意の理論

型は技であり、理論です。

ナイファンチの型は空手の基本であり、その基本が大事なのです。

何故かというと、武道においては基本の理論が極意の理論だからです。

ナイファンチは「真半身」を基本として、身体を最大限に駆使して術技的に最強の武道的身体を創り上げるのです。

そのためには、正中線軸をしっかり捉えて、それを崩さないようにするために、入り身、浮身、無足の法そして丹田などの、普通にはないものをあるが如く意識できるようにしなけれがなりません。

この身体の運用技法が身につくと、身体全体が一つになって動くため、技を出したという結果だけが認識されるが、その動作過程は認識されずに、技が目に捉えることができなくなるのです。

こうした理論化された武道的身体を型として完璧に追究することで三位一体の心技体が実戦以前の稽古の場で出来上がり、実戦にも耐えうるものになります。

■術技的に最強の武道的身体

型は我流の体力や素質まかせの力技の無意味さが無駄であることを分からせてくれるとともに、「真半身」から、身体を最大限に駆使して術技的に最強の武道的身体を創り上げます。

その結果、武道に必要な体捌き、入り身や浮身、それに無足の法といった、普通ではちょっと考えられない術が可能となる武道体ができあがるのです。

■ナイファンチの型で達人となる

結局のところ、「道を極める」とは、自分の「心」の「とらわれ」を取り去り、自然の法則に自分を委ねきるということになります。

ナイファンチの型を極めると、武道を極めた達人たちが宗教的な「悟り」とも呼ばれる境地に達している理由をも理解することができ、あなた自身が達人となる事も出来ようになります。

■正中線と丹田

正中線は目に見えない身体の感覚が身体の中心を上下に貫くラインで、これが身体の中に出来ると、無駄な力を使わずに、バランスの良い姿勢が自分の意識下にできるため、最大限にカラダをコントロールできる能力が体得できるようになります。

そして、次に丹田ですがこれが下腹にできると、精神的に「肝が据わる」という言葉のように物事に動じない平常心につながってきます。

従って、正中線と丹田を鍛えることが、強くなるための必要条件です。

その結果、武道に必要な体捌き、入り身や浮身、それに無足の法といった、普通ではちょっと考えられない術が可能となる武道体となってきます。

外見上のシンプルさに惑わされて、簡単に考えてしまうのでなく、身体の内面をしっかりと感じ、正中線と丹田を意識することから始めましょう。

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