横隔膜呼吸法の応用ということもできる「片鼻呼吸」は気軽に実行できて、それでいて自律神経を整え心とからだを一体化する実効性のある呼吸法です。
とにもかくにも、この呼吸法は、すぐさま効くので意識状態に変化が起きることが経験できます。
■横隔膜呼吸 やり方【その3】片鼻呼吸
今回は、そんな横隔膜呼吸のやり方【その3】として片鼻呼吸に関して、記します。
鼻の左側は右脳と関係し合っていて、右側は左脳と関わりあっているのです。
ひとつひとつの鼻孔を通じて代わる代わる呼吸をやると、脳の一方の半球から他方の半球ヘスイッチの切り替えがおこりますが、この片鼻呼吸は、そうした生理的な状態がもたらされることを意識していると言えます。
鼻からの呼吸を活用して右脳と左脳を代わる代わる刺激を与えることは、非常に効果的な動作だと私は実感しています。
ゆっくりと深呼吸をしながら、一方の脳から他方の脳へ何度もスイッチを切り換えることで、左脳と右脳の調和を獲得するかのように感じることができるからだといえます。
■片鼻呼吸法は自律神経のバランスを良くする
片鼻呼吸法は自律神経のバランスを良くするので神経を安定化させ、頭は冴えると共にリラックス状態になります。
この呼吸法くらい無気力になって散漫になった心の内を速やかに改善させてくれる方法はほかにないと言えます。
この呼吸法を行なうと、意識が冴えてゆったりした気分になり、集中力がわいてきます。
意識を集中させて手順に従ってきちんと正確にゆっくりと行なえば、事あるごとに素晴らしい成果が期待できるのです。
■呼吸法の体験
個人的な体験としては、ストレスのかかる大勢の人を前にしたスピーチや試合前や、仕事でくたくたになったときなどに行なうと、気分が高揚し、気力がよみがえり意識が冴えて、冷静さを取り戻すことが可能になります。
■大脳皮質の右脳と左脳の働きの違い
左右の手を広げて頭上にのせると、その手は大脳皮質の二つの半球をおおうことが出来ます。
大脳皮質の右脳と左脳は、電話線と似た感じの「脳梁」と呼ばれる厚い繊維質の束で結ばれております。
多くの言語的機能は脳の左側が、視覚的機能は脳の右側がつかさどっています。
つまり右脳は感覚や感情やイメージや直観を象徴化するエリアであり、左脳は理論や数字や言葉や論理的思考などをとり扱うということなのです。
この大脳皮質の右脳と左脳の働きの違いは、過去数十年間においての特に素晴らしい科学的発見の中の一つに上げることができます。
■片鼻呼吸のやり方
この片鼻呼吸は、片鼻づつ交互にすることで意識的に「呼吸を左右均等にする」ことで潜在意識にこのことが刷り込まれます。
すると普段の呼吸でも左右を均等にしようということが自然に作用するようになる。
このことが非常に重要なこととなります。
手順
まず、あなたの利き手から始めて、あとから反対側の手に交換してください。
1.まず人差し指を眉間に当てて、親指で鼻の外側を押さえ鼻孔をふさぐ。
2.最初に鼻孔からゆっくりと息を吐き出す。
3.吐き終わったら、そのままでゆっくりと吸い込む。
4.吸い込み終わったら、中指で反対の鼻孔もふさいで、息を止める。
5.3~5秒くらいで親指を離して反対の鼻孔から息を吐く。
6.吐き終わったら、そのままゆっくりと吸い込む。
7.吸い込み終わったら、親指で反対の鼻孔もふさいで、息を止める。
8.3~5秒くらいで中指を離す
9.2~8を何度かくり返しましよう。
だんだん慣れてきたら、呼吸そのものが鼻孔から出ていって、またもどってくる感覚に意識を向けてください。
おなかの筋肉をゆったりと弛緩深い呼吸をおなか全体でゆっくりと行ないます。
あまり力みすぎないよう気をつけてください。
ごく自然に静かに呼吸を行なって、2~3分間ほどこれを続けて行ないましよう。
2~3分経過したら、もう一方の利き手でないほうの手に交替し2~3分続けて行ってください。
最後にもう一度利き手、さらに2~3分間呼吸を行なってください。
○片鼻呼吸の要点
最初は、なるべくゆっくりとした呼吸を3分間で10回以内を目標にするのがいいでしょう。
呼吸を行ないながら、止める時間を段々と伸ばしていくようにして呼吸を長く引き延ばしていきます。
心身のリラックスのために意識的呼吸法を実践している人には、非常にゆっくりと呼吸を行なうのが合っています。
速い呼吸ではとてもリラックスなどできないからです。
身体の中に深いやすらぎを感じるためには、毎分6~10回程度の呼吸数に変えることが望ましいでしょう。
最終的には1分間に3~4回程度の呼吸を目標としていきます。