クンバハカ法は外部から与えられる精神的・肉体的ショックから受ける自律神経の動揺を防止し、あたかも神経そのものを別人のものと取り替えたように、内側から劇的に変えてしまうすごい効果のある訓練法です。
本来のクンバハカは、肉体を霊体化して「もっとも神聖なる状態」にするためのインドヨガの秘法として現存してます。
それを、中村天風師が若き日にヒマラヤ山中での修行で自ら習得し、現代文化の日本民族に実行しやすいように組み変えて「神経反射の調節法」と名づけたものなのです。
クンバハカ法のすごい効果について、中村天風師はその著書の中で…、
「クンバハカを習得することによって、己の心身が自分でも信じられないほど、見違えるように変わってしまった。
たいへん効果のあるもんなんです。
とにかく、わずかな方法でもって、それが自分のものになってしまうと、自分でもこれが自分の命かいなと思うほど幸福を感じますから、理屈は今は厳密に知らなくていいから、まず実行しなさい。」
とすすめています。
「すぐにビビってしまう」
「アガってしまう」「気が弱い」「気が小さい」
という性格であったり、
感情のコントロールが思い通りにできない方に特におすすめです。
クンバハカのやり方ー効果抜群なのにカンタンすぎる!?
・肛門を締める
・肩を落とす
・腹に力を込める
この3つを「同時に」やること
この3つのことを別々に、ゆっくりやってはダメです。
中村天風師の言葉をかりると…
それはね、感情や感覚に衝撃やショックが来たなら、いきなり驚いたり、怒ったりすることを止めようとしたってだめだから、急いで体の三か所を特別なもち方をするんだ。
先ずとりあえず、肛門をキューと締めると同時に、臍下丹田いわゆるヘソを中心としたお腹にグッと力を入れ、肩の力をヒョイと緩めちまうんだ。そうした状態になったときに初めて感情や感覚の刺激衝動が、心には感じても神経系統に影響を与えないという、いわゆる影響を減ずる効果がでるんです。別々にやっちゃいけないよ。お尻を締めて、おなかに力を入れて、肩を‥‥なんて、ゆっくりやってはだめだよ。つまり、この方法はダーンときたやつをカッと軽くいなす方法なんだ。
肩が上がっていると横隔膜が上がり、神経反射を完全に消滅できない。横隔膜をグッと安定せしめて、全生命の重心を臍下丹田に押し付け、肛門を締めると何とも変化はこない。
以上のように、秘法といってもクンバハカのやり方はほんとうに簡単なんです。
クンバハカ法で間違いない効果をあげるための3つのポイント
「肛門、下腹、肩」の3か所を、肛門を締め上げ、下腹に力を充実させて、肩の力を抜く、という説明だけを聞くと、なんだそれだけのことか、と思われるかもしれませんが、実際はこれが中々難しく、出来たようで出来ていないのがこのクンバハカです。
したがって、まずは「肛門、下腹、肩」の3つのポイントをよく理解して間違いなく効果が実感できるようにしましょう。
肛門を絞める⇒仙骨神経を安定させる
この肛門を絞めると仙骨神経叢の動揺を防ぐ効果があり、禅においては「止気の法」と言われて、気の逃げ失せるを防ぐ方法として伝えられています。
日常生活の中で、特に公の場で人前に出なければならないときや 重大な場面に臨む前には、精神緊張のあまり大小の便意をもよおすことがあるでしょう。
これは直腸や膀胱の機能を支配する仙骨神経叢が異常に興奮し過敏に働くためなのです。
そのほか、突然驚きの念に襲われたとき、失禁したり、妊産婦に陣痛が始まったりするのも同様に仙骨神経叢の動揺によるものと言って良いでしょう。
肩の力を抜く⇒横隔膜神経を安定させる
よく思いがけない出来事に出会ったり、大事な場面に臨むと、「うわずる」とか「あがる」とかいう状態に陥りやすく、この時は必ず肩に力が入り肩が上がっているものです。
それにつれて横隔膜が引き上げられてしまうことになって横隔膜神経叢が動揺することになるのです。
こうした場合、肩の力をぬくことによって、「うわずる」とか「あがる」という状態を抑えることができるのです。
日常の経験でも、何かにハッと驚いた瞬間、肩が上がり横隔膜の俗に言うみぞおちのまわりが空になった体感があるでしょう。
恐ろしいことや悲しい出来事にぶつかった刹那、キューっとみぞおちが痛むような気がするのもこの神経叢の動揺しているせいです。
肩の力を抜き緊張を緩めることによってこの動揺はすぐ治まります。
柔道、剣道、空手、相撲、ゴルフ、野球その他あらゆるスポーツや武道で、肩に力を入れるなというのも、この理由によるのです。
さらに肩の力を抜くことによって心臓神経の動揺を鎮めることができるので驚きや恐れによって心臓のドキドキするのを平常にすることができるし、また総頸動脈神経が安定するので脳への血液の流れを正常化するといったように生理的にも大きな効果を生むことが実証されています。
下腹部に力を込める⇒臍下丹田に気を込める
ただ単に下腹部に力を入れると、内臓に重圧がかかり内臓器官の下垂を招く恐れがあるので下の方から肛門を締めることを同時に行うことによって内臓諸器官が安定。
なお下腹部に力を込めることを生理学的に説明すると腹腔神経叢の動揺を鎮め腸間膜神経の安定を保つ効果があるのです。
俗に怒った時は腹が煮えくり返る思いがするとか、悲しい時は断腸の思いとか言うが、これは腹腔の神経系統の動揺状態を表現した形容であって、事実これらの消極的な情動によって、腸は異常な動きをします。
下腹部にぐっと力を込めることによってこれらの神経系統の動揺はおさまり、さらに腹圧によって内臓に分布する副交感神経の抑制作用が活発に働いて、神経系統全体の調和が維持されます。
従って胃腸の消化、吸収の働きは正常化し、活発にしかも調子よくなるのです。
クンバハカ法を習慣化するコツ
肛門、肩、下腹の3ヵ所を同時に上記のような状態にするのであるが、最初のうちは3ヵ所を同時にそうすることは難しいので練習の順序としてまず初めには右の3ヵ所のうち特にやりにくい肛門を締める練習から始めると良いでしょう。
それも時折思い出して締めるというのではなく日常の些細な一挙一動の動作にも肛門を締めて行動する癖をつけることです。
そして肛門がいつでもとっさに締められるようになったら、次に肩の力を抜く癖をつけ最後にした下腹に力を入れる練習をしてから初めて3ヵ所同時に行なう練習をするのです。
何と言っても外界から急激に強烈な感覚的刺激やショックを受けた時、例えば地震、火事、雷鳴、交通事故など天災人災にあった時はもとより暑さ、寒さなど温度の急激な変化、外傷や手術などの苦痛に対してもこの調節方法は精神的動揺や肉体的苦痛をまたたく間にやわらげます。
一方心理的な面には、心に怒りや恐れや悲しみなどネガティヴな情動が生じた時、この方法を行えば、たちまち平常心を取り戻すことが出来るようになります。
しかしながら、普段の習慣としていちばん大事なのは、肛門をしょっちゅう締めることです。
何をするにも、気が付いたら常に、肛門が締まっていると何にも変化は起りません。
そこで、習慣をつけるのにいちばんいい一石二鳥の方法があるんです。
いま言った体のもち方を応用しながら、折あるごとに時あるごとに、日に何千回でも、意識的に深呼吸をすることを稽古するのです。
そうすると、ひとりでにこの良き習慣が、いざというときに特別に意識を用いなくても、肛門が締まって、肩が落ちて、おなかに力が入るようになっています。
クンバハカ呼吸法のやり方
肺の中の悪ガスを出すことが大事なので、先ずは息を吐き出す。
そのときに、肛門は締めておいて、肩だけ落として、腹のほうは考えないで、息を出すだけ出します。
出しちゃって、出切ったなと思ったときに、改めてまた肛門を締めて、肩を落としておいて、息を吸い込みます。
いっぱい吸い込んだときにおなかにぐっと力を入れて、そしてまたパーッと出すのです。
そういう呼吸法をやっていると、いざというときに神経反射の調節法がパッとできるばかりでなく、落ちついた気分が求めずして自分の気持ちのなかにでてきて、今までのように感情や感覚にやたら引きずり回されなくなるのです。
クンバハカの効果がすごい!
肉体的効果
(1)血液循環が良くなる
(2)消化吸収の働きが活発になる
(3)従って下痢や便秘を防ぐ
(4)血圧が正常化する
(5)自然治癒力が増進するので病や怪我の治りが早い
(6)疲労を感じない
(7)総じて強健な肉体となる。
精神的効果
(1)頭脳常に明快
(2)精神的に安定するので些細なことに怒らず、恐れず、悲しまず
(3)胆力ができる
(4)虚心平気の心境を保ち売る
(5)対人的には同化力旺盛となり、人間的魅力の持ち主となれる
数えれば、その効果はこの方法を体得した者のみが獲得できる多大な恵みと言えます。
神経反射調節方法(クンバハカ法)はあなたの人生を変える!
神経反射調節方法(クンバハカ法)はあなたの生活のあらゆる方面に大きな効果を発揮します。
繰り返しになりますが外界から刺激やショックで感覚的に苦痛を受けた場合や精神的に情動のため心が動揺している場合のほか、日常他人と接触する場合もこの体勢にある時、落ち着いて応対することができます。
まして多勢の前で発言したり、商取引その他対人折衝の場合などにも用いてその威力を知ることができます。
あるいはどんな種類のスポーツの練習にも、まして、試合に臨んだ場合にこの方法がどれほど役に立つかは多くのスポーツ選手が実体験しています。
また柔剣道、居合、空手、合気道、弓道など武道諸般においても、この方法が心身両面において、基本的に必要な虚心平気の心持ちと、神経系統の安定性と積極性を保持するのに非常に有効であることは、実験済みです。
さらに能楽、謡曲、書道、彫刻、絵画、音楽などの芸道においても、誰でもが驚くほど素晴らしい進歩をを実感するでしょう。
心身いずれの面からも絶えず危険にさらされている現代人は命を守る要具としてこのクンバハカ法を身につけ、いつどんな場合にも役立つように心がけることは最も賢明な生き方であることは間違いありません。
人生はたった一度!二度と再びこの世に生まれてはこれません。
だとしたら、もっと生きがいのある状態でいきるために、この身体にも精神にも非常に効果の高いクンバハカ法の習得をおすすめします。