丹田を鍛える効果は、全ての人格の総括的な向上が可能になるのです。
実のところ、名人、達人、賢人、超人に至るための身体で真理を追究する鍵を握るのは丹田なのです。
人間存在を身心一如としてとらえた場合、心は、形も色も匂いもなくとらえどころがありません。
だからこそ身体という実在がなければ、心はあなたの思い通りにはたらかすことが不可能なのです。
そして身体によって進化向上した心は、逆に身体を引っ張り上げ進歩させることになります。
本来一つである身体と心は、それぞれの能力の分を維持し、相乗作用によって人間存在を包括的にレベルアップさせていくのです。
そして丹田を鍛えることによって、身心は十全にはたらき、人間存在全体が向上することによって名人、達人、賢人、超人になれるのです。
日本に古来から伝えられている武道、芸能、宗教的な修行法などは、体のコントロールを通じて心をコントロールする、得がたい身体文化の宝庫なのです。
丹田に秘められた驚きの効果!
何はともあれ、丹田を鍛えることによって、あなたの秘められた可能性が開花して、全人的発達に寄与する驚きの効果とは如何なるものかを列挙してみることにしましょう。
- 自然の法則に適応した潜在力を発揮する
- 心が安定してストレスに強くなる
- 内臓の強化が太陽神経叢を活性化するため妄想や雑念がなくなる
それでは、一つ一つを詳しく解説していきましょう。
自然の法則に適応した潜在力を発揮する
あなたの身体は、あなた自身のものでありながら、あなたが勝手につくったものではありません。
それゆえに、身体はあなた自身のものでありながら、分からないことだらけではありませんか!
人間は何十億年前からの長い生命活動の進化の中で、今ここに存在しています。
確かに、二本足で立って形体上の進化はほぼできあがっています。
しかし、大脳生理学の定説「脳細胞の使用率が5%にも満たない」と言われているように現在の人間の肉体的、精神的にも内在している能力についての進化はこれからなのです。
つまり、自覚できるあなたがあなたのすべてではないように、あなたの能力においても、あなたの全能力の一部しか使えていないのが現状です。
それが、丹田を鍛えることによって、人間の進むべき方向(進化の方向)が身体の中に隠されていることがわかってくるのです。
例えば、武道の「人を殺傷することを目的とした技法」を極めて宗教的な「悟り」とも呼ばれる境地に達するには丹田を鍛えることが不可欠なものです。
このように、丹田を鍛えることは、単に身体に影響をあたえるだけではなく、「心」にも大きな影響を与えています。
このことは、人間に内在している能力を発揮する上で大変重要な意味をもっているということにもなります。
心が安定してストレスに強くなる
心の安定は、知識やヤセ我慢的なガンパリではどうにもなるものではありません。
丹田を鍛えることで心が安定するのは、交感神経と副交感神経のバランスが調って、自律神経が安定するからです。
身心を興奮状態にするのが交感神経です。
反対に、副交感神経は、興奮を抑制し、エネルギーを備蓄するはたらきをします。
人間はいざというとき以外は副交感神経主導の状態が望ましいのです。
また、有事にあっても泰然とし、無事にあっても万般に心配りできるのが丹田のできあがった腹の人であり、副交感神経主導型の人といえます。
「水清ければ月宿る」
波一つない澄み切った湖面は、月が出れば月そのままのすがたを正しくとらえることができるのです。
情報を判断するときの心境も、静かに澄み切った湖面のようであれば冷静沈着な行動ができ物事を誤らずにできるようになります。
現代人は絶えず、物理的にも心理的にもストレスにさらされています。
このストレスがあなたの身体や精神を侵略してくるのです。
ところが、充実した丹田は、ストレスを吸収して、その侵略を防ぐはたらきをします。
また、何か大きな物音がして驚いたとしても、丹田が充実していれば横隔膜が上がって心臓を刺激しないので、動悸が起こらず落ち着いて対処ができるはずです。
驚きのショックも丹田に吸収されてしまうからです。
何か困難な事態に陥った場合でも、丹田が充実していればいたずらに悲嘆することなく、凛然たる勇気が湧き上がってくるのです。
クンバハカ法は中村天風師がヒマラヤでの修行経験から、編み出した精神的動揺や肉体的苦痛をまたたく間にやわらげて心の乱れを防ぐ方法です。
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勇気に満たされていれば、いたずらに悲嘆し、絶望感に打ちひしがれることがなくなるのです。
内臓の強化が太陽神経叢を活性化するため妄想や雑念がなくなる
昔の武道の達人は、常識では考えられない超人的な体力、膂力を発揮したと伝えられています。
例えば、針谷夕雲は、竹刀でもって鉄兜をかぶった男をたたき殺したと言われています。
このような力は筋肉トレーニングなどで鍛えた筋力では不可能です。
丹田を鍛えることによってのみ養われる気力、体力、エネルギーが充実した力なのです。
筋肉トレーニングだけでは内臓の発達が伴わないから、内臓への負担が過剰となり、逆に弱まってしまいます。
丹田力が内臓を強化をして、体力や膂力が培われ、真の運動能力を育てる心身開発メソッドとなるのです。
横隔膜の働き
横隔膜は腹腔にとっては天井であり、胸腔にとっては底部にあたるドーム状の筋肉です。
この横隔膜の働きが丹田にとって、とても重要な存在なのです。
心臓が動脈血のポンプであるならば、充実した丹田は静脈血のポンプであるといえる存在なのです。
横隔膜の降下は腹腔を陽圧にすると同時に、胸腔を陰圧にすることになります。
心臓や肺は陰圧の環境におかれるとよくはたらく性質を持っているから、丹田の充実という一つの事が、腹部、胸部両方の内臓を強化する二重の作用を同時に果たすのです。
このように、二木謙三博士は丹田を鍛えることの重要性を解説しています。
内臓の強化は自律神経の強化
内臓には自律神経が密集していて、内臓の活動をコントロールしています。
その関係から、内臓の強化は自律神経の強化につながることになるのです。
自律神経が衰弱したり、ホルモン系がバランスを乱すと、心理面にも乱れを生じ、妄想や雑念に取りつかれることになります。
また、丹田を充実させるために、上腹部を柔らかく凹ませた状態にすることで、自律神経の集合である太陽神経叢を活性化して、心理的安定に大きく寄与することになるのです。
丹田を鍛える具体的な方法;
【必見】丹田を鍛える方法と効果!知られざる心身の健康と人生好転の秘法
を参照してください。
「月無心にして水に移り、水、無念にして月を写す。内に邪を生ぜざれば、事よく外に正し」
これは 一刀流開祖伊藤一刀斎の剣法書の「水月移写」ということについての解説です。
月は、水の上に来れば、即その姿を水に移し、水は間髪を入れずに月を写す。
月、水共に無心、無念だからである。
だから、月と水の如くあれというのが、この伝書の趣旨です。
だが、人間はなまじ考える力があるだけに、妄想や雑念はなかなか消せるものではないのです。
このやっかいな妄想や雑念をなくすことも丹田を鍛えれば可能となるのです。
幕末の剣客である白井亨は、丹田を鍛えることにより名人となったのです。
丹田は、知力、技術力を一段と高い次元で活かして、人間を全体的に向上させる力を持ったコントロールセンターともいえます。
山岡鉄舟の晩年の剣は、ユッタリとしていながらスキのない神技となり、書は年とともに冴えている。
白隠禅師もその書は、年齢を重ねるほど気韻が満ちて、見る人を圧倒するものがあります。
人間にはこうした、近代合理主義的価値観では説明のつかない潜在能力をそなえているものなのです。
このような年齢とともに向上する力を作るのが丹田を鍛える効果です。
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